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第12回 お役立ち情報

遺言書を作成する時の注意点

まずは事例です。

相続に関係する遺言書 事例1

私達家族は夫、妻、二人の子供の4人家族でした。夫はごく平凡なサラリーマンで給料はそれほど多くはありませんでした。
幸いにも二人の子供は、大学に進学し、長男はアメリカへ留学、次男は日本の大学に進学しました。
しかし、長男のアメリカ留学には多額の資金が必要となり、貯蓄では賄えず、老後のためにと積み立てていた生命保険を取り崩し不足していた資金を賄い何とか入学することができました。
今では、長男はアメリカで結婚し現地で暮らしており、また次男は次男が結婚した時から同居をしております。

夫は生前、「長男にはアメリカ留学のため多額の資金を援助した。今ではアメリカで財産を築き幸せに暮らしている。
私の財産を相続させなくても文句は言わないはずだ。次男は、私達夫婦と同居し最後まで面倒を見てくれた。
私の財産は次男に相続させたいと思っている。」と言っておりました。

夫が亡くなった後、遺言書を長男と次男に見せました。
長男は私がいくら説明しても夫の本意は伝わらず、次男に遺留分を請求してきました。
このような状況を友人に話したところ、 遺言書にご主人が生前お話されていた内容を書かなかったのでは?と言われ、遺言書を見直したところ付言事項には何も書かれておりませんでした。

【ポイント】

  • 1.付言事項が無かった
  • 2.なぜ次男に相続させるかの理由が無かった

【解説】

遺言書には記載する内容として二つに分けることができます。
一つは法律上効力を持たせる「法的遺言事項」、法的効力を直接発生させることを目的としない事項を記載する「付言事項」があります。
付言事項には、家族へのメッセージなどを記載することができます。

この付言事項により家族間の紛争が回避され、円満な相続が実現できた事例は多数あります。
付言事項には法律に縛られることなく、比較的自由に文章を作成できることから遺言者自身のストレートな想いをメッセージとして関係者に伝えられます。
この付言事項こそ定型的な文句に留めず力を入れて書いて頂きたい箇所になります。

相続に関係する遺言書 事例2

私は兄弟3人です。父が亡くなった後、母と同居し面倒を見てきました。
兄弟2人は母に生前に遺産は兄弟3人で平等になるように頼んでおりました。
私は、遺産分割で争うのを避けるために母に遺言を書いてほしいと頼んでおりました。

その後母が亡くなり、母の遺品を整理したところ遺言書が見つかりました。
封印がきちんとされており家庭裁判所に持っていき検認の手続きを行いました。
母は私に半分、兄弟2人に残りの財産をという遺言を残してくれました。

ところが母が書いてくれた遺言書には遺言執行者の名前がなく、金融機関等で換金ができません。
換金ができないことから兄弟2人に必要な書類に署名と捺印を依頼しましたが、遺言の内容に不満があるようで応じてもらえませんでした。

【ポイント】

  • 1.遺言書に遺言執行者を書くことを知らなかった
  • 2.自筆証書遺言ではなく、公正証書遺言にしておくべきだった

【解説】

遺言書がない場合、相続人全員で遺産分割協議を行わなければ原則として遺産の名義変更はできませんが、遺言書があれば相続人全員の合意がなくても遺産の分割はすることができます。
ただし遺言書があるからと言って名義変更をすぐにすることができるという訳ではなく、遺言執行者がこの手続きを代表して行います。
相続人間で揉めそうな場合には遺言執行者を遺言書に記載しておいた方が良いでしょう。

また自筆証書遺言は不備があれば無効になる可能性もあります。専門家のアドバイスをもらい記載した方が良いでしょう。

いかがだったでしょうか?
ご不明な点がございましたご連絡を頂ければと思います。

税理士 川里隆之

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